「AIチャット無制限」は一見わかりやすいですが、実際は“コスト爆発”と“信頼崩壊”を同時に引き起こす最短ルートです。
「月額を払えば、ずっと話し放題」
この約束は、特に AIコンパニオン(AI彼女/AI友達/ロールプレイ系)ではほぼ破綻します。
本記事では、なぜ“無制限プラン”が失敗しやすいのか、企業がどうやって静かに撤回するのか、そしてなぜ感情的ダメージが金銭的ダメージより大きくなりやすいのかを整理します。
収益化の全体像(この話の前提)
👉 https://lizlis.ai/blog/how-ai-companion-apps-make-money-and-why-most-fail-2026/
1) 誰も広告で言わない「非線形コスト曲線」
LLMのコストは「ユーザー数」ではなく トークンで増えます。
しかも“無制限”が壊れるポイントは、平均ではなく 長い尻尾(ロングテール) です。
AIチャットの1メッセージは、単に短文を処理しているだけではありません。多くの場合、裏でこうなります。
- 会話履歴を再送
- システムプロンプトを再注入
- 記憶サマリーを再注入
- 場合によっては画像・ツール情報も追加
つまり会話が長くなるほど、1回の返信コストが上がる。
この「会話が続くほど高くなる」性質が、無制限プランと最悪に相性が悪い理由です。
短いQ&A(ステートレス)なら軽い。
一方で、記憶と連続性を売るAIコンパニオンは、同じ“チャット”でも10〜70倍級にコストが跳ねることがあります。
2) 「無制限」が実際に意味していること(ほぼ別物)
ほとんどのAIサービスは、マーケ上“無制限”と言っても、実際は何らかの安全装置があります。
ただし、それが 見えない/説明されない ことが問題です。
パターンA:フェアユース上限(実質的な隠しキャップ)
「無制限(フェアユース)」の名目で、一定以上使うと停止・制限されます。
例としてよく引き合いに出されるのが Merlin(※例として):
ユーザーは“無制限だと思っていたのに止まった”と感じ、ここで信頼が割れます。
パターンB:ソフトスロットリング(重いユーザーだけ遅くする)
止めずに、遅くします。
- 応答を遅くする
- 優先度を下げる
- 混雑時に重いユーザーだけ劣後させる
ユーザーから見ると「最近、AIが遅い」「前より反応が悪い」に変わります。
“バレにくい”ので企業はやりがちですが、体験の劣化は確実に蓄積します。
パターンC:サイレントなモデル劣化(勝手に安いモデルへ)
最初は良いモデル、途中から安いモデルに切り替える。
エラーは出ません。ユーザーはただこう感じます。
「なんか急にバカになった」「薄くなった」
AIコンパニオンは“品質が関係性そのもの”なので、ここで離脱が起きやすいです。
パターンD:記憶・文脈リセット(無制限“会話”でも無制限“記憶”ではない)
無制限プランでも、無制限メモリはほぼ提供できません。
- 古い会話を切り捨て
- 早い要約
- 強制的に新チャットへ誘導
これはコスト制御として合理的ですが、AIコンパニオンでは裏切りに感じられやすい。
なぜならユーザーは「ずっと覚えていてほしい」を買っているからです。
パターンE:行動摩擦(使いすぎを心理的に抑える)
- 休憩を促す
- 長時間になると会話が淡くなる
- クールダウンが出る
“ウェルビーイング機能”として正当化されますが、同時にコスト保護にもなります。
3) なぜ「料金の問題」ではなく「裏切り」に感じるのか
ここが重要です。
AIコンパニオンにおける“無制限”は、単なる価格の言葉ではありません。
ユーザーは無制限をこう解釈しがちです。
- いつでも繋がる
- 条件なく話を聞いてくれる
- 必要な時に消えない
だから制限が出ると、SaaSの課金変更というより、
関係の拒絶
“必要な時に居ない”
として受け取られます。
感情が入るプロダクトほど、価格改定や制限強化の反発が大きく、長く残ります。
4) クレジット制 vs サブスク:永遠のジレンマ
クレジット(経済的には正しい)
- 使った分だけ払う
- ヘビーユーザーが負担する
- マージンを守りやすい
ただしユーザーは嫌がります。
- メーター感
- 使うたびに不安
- “今日はここまで”が冷める
特に感情系・創作系で反発が出やすい。
サブスク(感情的には快適)
- 予測可能
- 安心して話せる
- エンゲージメントが上がる
しかし、ヘビーユーザーが混ざると壊れます。
だから企業は後から隠し制限を入れ、そこで信頼が壊れます。
5) 「無制限崩壊」の典型タイムライン(どこでも起きる)
- 開始:無制限を掲げて成長
- 増加:ヘビーユーザーが出現
- ショック:推論コストが跳ねる
- 締め付け:制限/遅延/劣化/値上げ
- 反発:炎上・離脱・信用低下
- 再設計:結局、クレジットや上限に戻る
例として話題になりやすいのが Cursor(※例として):
- https://www.cursor.com/ (または https://www.cursor.sh/ で案内される場合あり)
ポイントは「無制限は最初だけ」で、最終的に必ず“現実”へ寄ることです。
6) じゃあ日本で「失敗しない選び方」は?
日本の検索意図(おすすめ/比較/無料)に対して、判断軸はシンプルです。
「無制限」と書いてあったら見るべきチェック項目
- どこかに Fair Use と書いてないか
- 具体的な上限・優先度・混雑時の扱いが書かれているか
- 記憶(メモリ)の範囲が明記されているか
- 音声・画像など高コスト機能の制限が明記されているか
- “遅くなる/劣化する”条件が説明されているか
明記がない場合、後から体験が変わるリスクが高いです。
7) Lizlisは「偽の無制限」を避ける(最初から透明にする)
Lizlisは “無制限っぽく見せて後から回収” をしない設計を選んでいます。
違いは明確です。
- 1日50メッセージ上限を最初から明示
- 隠しスロットリングを前提にしない
- サイレントなモデル劣化を“仕様”にしない
- ユーザーが計画できる制限にする
Lizlisは AIコンパニオンとAIストーリーの中間を狙うため、
- 感情の連続性は大事
- でも持続可能性も大事 という前提で、期待値を最初に合わせます。
カテゴリ比較の基礎はこちら:
👉 https://lizlis.ai/blog/ai-companions-vs-ai-chatbots-vs-interactive-storytelling-2026/
まとめ:無制限は“不可能”ではなく、“嘘が危険”なだけ
無制限AIチャットは理論上不可能ではありません。
ただし「無料に近い価格で無制限」をやると、ほぼ確実にどこかで回収が必要になります。
生き残るプロダクトは、
- 実コストと価格を整合させ
- 隠し制限を避け
- 期待値を最初に合わせ
- “透明性”で信頼を守る
方向に寄っています。
関連ピラー(収益化の全体像):
👉 https://lizlis.ai/blog/how-ai-companion-apps-make-money-and-why-most-fail-2026/